"LIFE"における日本、ニューヨーク、フランクフルト間の3地点のダンサーによるコラボレーションを実現するためには、国境を超える通信回線を確保し、文字通り地球を一周する経路を準備することが必要です。

この大規模なネットワーク・システムを構築するために、WIDEを始めとする、これまでの日本のインターネット構築で中心となってきたネットワーク技術者、および様々な企業の助力が集結されています。そのメンバー達が各ネットワーク拠点での設定や回線の手配、各種コーディネーションの上で発生したあらゆる問題をクリアしながら、この地球一周のネットワークシステムを作り上げています。以下に、担当した企業と回線経路について、各エリア別に簡単に説明致します。また、 全体のシステムに関しては、下記のシステム図、および担当者に関しては、同じく下記のスタッフリストをご覧ください。

東京拠点および海外までのネットワーク
"LIFE"におけるネットワーク・オペレーションの中心(NOC:Network Operation Center)は、NTT-ME社の支援により東京大手町NTTに設置されています。さらに、NTT大手町ビルよりWIDE Project東京NOCまで、Japan Gigabit Network(JGN)による光ケーブル(OC-12 ATM: 622M)が敷設され、そこからPSINet社のネットワークを介しフランクフルトに接続されます。また、インターネットとの通信はこの拠点でピアすることにより実現されます。
リハーサル会場および日本武道館との接続は、ATMメガリンク(OC-3 ATM: 155M)により接続されます。
尚、すべてのネットワーク拠点で、日本シスコシステムズ社のルータにより、各回線のルーティング制御、トラフィック制御が行われています。ルータ詳細図へ

東京・大阪間のネットワーク
東京と大阪城ホールとの接続は、同じくNTT大手町ビルに設置されているJGN(Japan Gigabit Network)のATMの155M(OC-3)PVP(CBR)の回線を介し、関西通信拠点に接続されます。大阪城ホールまでは、BBCC(新世代通信網実験協議会)の実験ネットワークによりATM155(OC-3)PVP(CBR)で接続されます。

日本・アメリカ間のネットワーク
日本とアメリカを結ぶ国際回線はNTT国際通信(NTT-WT)社の支援により、NTT大手町ビルから45MBの回線を介しアメリカ、ニュージャージーに接続されます。

ニュージャージーからニューヨークまでのネットワーク
ニュージャージーからニューヨークまでのアメリカ国内回線は、NTT America社の支援により、ニューヨークのダンサーの映像を通信し合う会場、SNAPPER BEAR STUDIOSまで接続されます。

日本とフランクフルト間のネットワーク
日本・フランクフルト間のネットワークは、WIDE Project 東京NOCより、光ケーブル(ATM OC-12)が敷かれ、PSINet社の国際回線を介し、ヨーロッパのPSINetの拠点であるロンドンを経て、ドイツ、フランクフルトのL.O.F.T.HOUSEスタジオまで接続されます。ここでフランクフルト会場のダンサーは、東京およびニューヨークから送られてくる映像に対してインタラクションし、その映像は再び東京およびニューヨークに返されます。






映像処理
舞台で行われるパフォーマンスの映像は、8台のカメラで撮影されます。 インターネットを介して、フランクフルト、およびニューヨークと最適なクオリティで映像のインタラクションを行うために、以下の最新技術が使用されてます。

COMET技術研究組合 新情報処理開発機構の支援により適用されている"COMET"は、DVから出てくる信号をカプセル化して、IPに乗せ、インターネット上で画像が見られるようにする装置です。今回は、IPパケットの送出順も受け手側で整列が可能となりました。そのため、映像の乱れもなく、最高のクオリティのDVをインターネットで送受信することができます。
COMETによる映像のインタラクションが可能になったことで、お互いの姿を確認して踊り合う、ダンサーのコラボレーションが実現できました。COMETのテクノロジーは、"LIFE"構成の3−2"Response"で適用されています。

Reimay:45Mbpsの帯域に複数のストリームを流すために、NTTエレクトロニクス社の支援による"Reimay"を使用して、映像の圧縮・伸長を高速に行っています。これにより、MPEG2へのエンコードおよびデコードをリアルタイムに処理することが可能になります。Reimayのテクノロジーは、"LIFE"構成の2−1"Evolution Of Life"で適用されています。